魔法の夜に

その起きると、外は一面の銀世界でした。

みっくはベットから出ると、枕元に置いてある、1枚の手紙を手にとりました。

あて先は、サンタさん
でも、紙には何も書かれていません

僕のほしいものって、いったい何だろう・・。

その時、
みっくの目の前を、うさぎが走り抜けました!

うさぎは、あわただしそうに押入れの中に入っていきます。

みっくは思わず うさぎの後を追いかけました。


押入れトビラを開けた、その時・・・


気がつくとそこは、おもちゃ箱のようなキラキラした場所。
帽子をかぶった おじいさんの店主が、 優しい顔で立っています。

おじいさんは
ここでしてるの?
ぼくは、うさぎを追いかけてきたんだけど、ここはいったいどこなの?


帽子の店主は答えます。

「僕はずーっと ここにいるんだよ。

の日も、の日も、 が降る日も、ネオンが流れる日も。
いつでも ここに いるんだよ。

それで僕は、 みんなの物語を きくんだよ。」



ここはみっく
アリスの落ちた穴の中
君の探しているものが、ここにはあるよ。



みっく まぼろし めぱちくり!
みっく まぼろし めぱちくり!

ほら、今日も たくさんの物語が きこえてくるよ。





そういうと、帽子の店主は、カウンターの中へと 消えていきました


ふと目をやると、膝を抱えた一角獣が、テーブルの上に座っています。

正確に言うと、その生えかけのようで、
一角獣と呼んでいいのか、みっくには分かりませんでした。


わたしはを生やしたいんです。
あの、に浮かぶ 三日月を!

だけど全然生えてこない。
まるでまったく、生えてこない!



一角獣を流してを上げます。


ガチャガチャの遺跡にいくと、それが見つかるとってたんだ。
だって、今までそこには行ったことがなかったから。

きっとそこに、何かがあるとってたんだ。

だから、どんなに太陽カラカラとうるさくても、
あの ガラクタの泉 が枯れたときでさえも、

ぼくはガチャガチャの遺跡に残ったんだ。


だけど・・

見つからない 見つからない 見つからない!


三日月の角が  生えてこない・・・








いている一角獣の向こうに、
みっくはまた、別の誰かを見つけました。

それは、銀色に輝く 女の子 でした。


女の子が近づいてきたとき、みっくは あること にづきました。


女の子には、心臓がありません。
女の子は、ロボットだったのです!


ロボットは、悲しい優しい目をして、みっくの前を通りすぎます。


誰かわたしを求めませんか?
あなたのすべてをうけとめます。
あなたはきっと、わたしを気に入るよ。
わたしはあなたに溶け込んで、欲望をぜんぶ、抱きしめるの

みっくには、ロボットが何を言っているのか分かりませんでした。


ただ、 なんとなく、 
ロボットは何かダイジなものを知っているようながしたのです。





「RBJ」


今日も朝から おはようございます

せんせいのお気に入りあたし。


生物の時間 ノートに書いたラブレター

あたしの秘密 おしえたげる


毎日ドキドキしてるの

誰でもいいよ


たくさんあげるから やさしく抱いてね



今日も 放課後イケナイコトしましょ

せんせいのお気に入りあたし。


体育館の裏に咲いてたコスモス

あたしだけの可愛いこ


毎日泣いているから

いつでもいいよ


受け止めてあげるから かわいがってね



ふたつの こころに 揺らされて

あったかいあたしと つめたいあたしと


オトナになんて なってあげない


あたし、ロボット女子高生

あたし、ロボット女子高生


歌:りょんたす from ロボット女子高生





その時、勢いよくドアを鳴らして入ってきたのは、
のようなこわーい顔のおじいさんでした。


おじいさんの顔は真っ赤で、近づいたら火傷してしまいそうです。

でも、みっくはなんだかおじいさんのことが気になって、
少しだけ近づいてみることにしました。

近くに行くと、おじいさんひとりで何かをつぶやいています。



家族のために  のために  のために 
お金のために  子どものために  土地を守るために  名誉を築くために


わたしは 正しいこと をしてきた。
いつだって真面目に、正しいことだけをしてきたんだ。


それなのに、 それなのに・・・
もう誰もいなくなってしまった。


梅の実をとることはもうない。
梅の実を、に漬け込むこともない。


ずっと守ってきたでさえ、人に預けてしまった。
残ったのは、小さな畑と庭のだけ。


なあよ、早くわたしもお前のんでくれないだろうか。
今度はちゃんと、優しい顔でお前のを聞いてやるから。


もうわたしには、るものが何もないんだよ。





「old tree」

おじいさんが 大事にしてる
庭の木には 実がなっている

夜になって ゴロリと落ちても
誰も拾いやしない 気づきやしないんだ

分厚い掌も
小さくなって いつかもう・・

だいじょうぶ 必ず帰るから。
心配しないで 元気でいて。
ありがとう みんな思ってるよ。
だいじょうぶ ここが大好きだよ。

安易な言葉 口をついて出てくる
夕暮れに 染みてゆく

生ぬるい痛みを抱えて
湿った風が残っただけ



その時、みっくの目に、あのうさぎ姿が映りました。

一角獣ロボットおじいさんを見て
なんだか不安な気持ちになってしまっていたみっくにとって、

うさぎの姿は、なんとも穏やかで、 ふわふわぬくぬく  暖かそうに映りました。


あのうさぎは、どうしてあんなに幸せそうなんだろう。


みっくうさぎに近づきました。

うさぎは唄をうたっていました。


みっくが質問するに、うさぎは先にえます。


わたしがどうして幸せかって?
それはね、魔法の唄を知っているからだよ。
その唄は、わたしとカメネズミと、
それから、トリの 物語 なんだ。

君の唄を知っているかい?


さあ、踊ろう
人生にはしばしば魔法の夜がやってくるんだ!





「トリのうた」

呑気に 呑気に さあ歌おう
優しい風や優しい雨を たくさん浴びて

呑気に 呑気に さあ踊ろう
冷たい風や冷たい雨に 打たれても

ずっと ここにいる必要はないのさ
ぼくらは別れて そしてまた

会いたいときに会いましょう
会いたいときに会いましょう

詩:リエコ  from モガブティック◆スパンコール 



あるところに、大きな 大きな トリがいました。
トリはあまりにも大きくて空を飛ぶことができませんでした。


だけど、トリは毎日うたを唄っていました。


気がつくと、うさぎカメネズミが集まっていました。



でもこれは、また別の物語です。








唄がおわったとき、みっくはひらめきました!


帽子の店主が言っていた 物語 っていうのは、 のことなんじゃないかな。


それぞれが、それぞれの物語をもっていて、
いろんなことを考えて、いろんな気持ちになって、


そうやってが続くほど、物語 はどんどん増えていくんじゃないかな。



ぼくの物語は何だろう。
ぼくの 生きる は何だろう。
ぼくは、ぼくの物語をふやしたいな。



たくさんの人に出逢って、たくさんの人との間に起きる

 

嬉しいこと も、苦しいこと も、
悩んだりひらめいたりしながら、物語にしていきたいな。


そしてそれを、大切なだれかにえたいな。









ふと目が覚めると、そこはいつも部屋の中

枕元には、相変わらず真っ白手紙が置いてあります。


みっくは紙を手にとると、サンタさんへの手紙を書きました。


サンタさんへ。

すてきなクリスマスの魔法をありがとう。

ぼくはほしいものを見つけたよ!!


手紙を置くと、みっくは部屋からび出しました。



今日はが起きるかな?

今日はに会えるかな?

どんな物語が 生まれるかな?


おしまい。










魔法の夜には何が起きるの?
月と太陽重なって おもちゃの世界は海の底

魔法の夜には誰に会えるの?
閃いたら踊りましょう  涙が出るなら流しましょう


星の砂を探しに行って バラの王女に会いました
押入れの奥では アリスのパーティ

ガチャガチャと クルクルと 繋がって 廻る

歌声は明け方まで響く
それは 19日の夜に・・・



月と太陽重なって
あなたとわたしが重なって


これから何が起きるかな?
これから誰に会えるかな?

まだ見ぬ君に 話すことたくさん
それは 物語

すべては ものがたり!